人生は一冊の問題集
添乗員としての思い出を連載し今日は最後です。派遣添乗員だと自分の直接のお客様ではないので次またいつ会えるかわからないのに数日一緒に旅をするというなんとも不思議な関係です。だからよけいに楽しくて思い出に残る旅をしてほしいと思うのかもしれません。
派遣添乗員では家庭や子育てとの両立が難しかったので旅行会社に営業として勤務できることになりました。その会社には80歳を越える大ベテランの大先輩がいて顔は布袋様のようににこやかで温かくどおもしろい方です。足が悪くなってもう辞めてもいいかのぉ?とお客様に聞くとダメー死ぬまで辞めちゃダメーと言われるくらいの超人気者です。台湾に添乗アシスタントで連れて行ってもらった時は本当に勉強になりました。歌も案内も役者以上。バスでは座らずおしゃくをして周り、みんなの写真をこれまたプロ並みに撮ります。本当に尊敬する大先生です。『いいか、こんなおもしろいいい職業はないぞ。苦労を苦労と思わずにストレスなんか溜めないでねばり強くがんばれ!お客さんがどうしてほしいかをよく考えて行動すれば絶対大丈夫だから』と励ましてくれました。
それから私は思い切って自分の会社を設立しました。派遣添乗員だった頃、こんな旅だったらいいなぁと思ってきたことをお客様に提案しています。まず主婦の立場からしてランチはこだわります。だって主婦の楽しみと言ったらまずは値打ちなランチなのに旅先ではなかなかおいしいものに出会えないのが悔しくて全国津々浦々おいしいランチを探してご案内するようにしています。そして心が成長するような旅を少しエッセンスのように織り交ぜるようにしています。中学生の娘、小学生の息子、忘れそうだったけどサラリーマンのだんなさん、主婦と会社経営なんていったいどうなるやら不安だらけの毎日ですが、旅が大好きだから一生懸命頑張ろうと思っています。
人は皆、一冊の人生の問題集を抱えこの世に輪廻転生するのだと本で読んだことがあります。自分は過去世で人をいじめてきたから今世はいじめられたり、とても貧乏で苦しんだから今世こそはと努力して豊かになったり、人それぞれの問題集を解いてあの世に帰るのだそうです。どうか思い出という名の花束を両手いっぱいに抱えて帰ってほしいと思います。全ての経験は叡智となって魂に刻まれるといいます。旅には問題集を解く鍵を発見する効果があり、旅は心のお洗濯だから普段反省できない心も不思議とピカピカに光ったりします。普段は気づかなかった雑草が生えているのが、踏まれてもつぶされても頑張って生きているように見えたりすることもあります。秋には自然が織り成す絶妙な色彩を、冬にはあったかい温泉を、春には色とりどりの花のカーペットでゆっくりお茶を、夏は涼しい高原や海辺の宿で採れたて海の幸を味わうのはどうでしょうか?
今回私の添乗員としての手記を読んで下さり本当にありがとうございます。添乗員という職業が身近に感じていただけたらうれしいです。













